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病理医という進路

とある同期から連絡をもらった。研修医として忙しなく働くさなか、自分が国試直前であることを思い出してくれて、しかもわざわざ連絡までくれたことがとても嬉しかった。差し入れのお菓子をいただき、近くの定食屋で夜ご飯を食べた。

その同期とは普段から関わりは少ないほうで、いきなり個人で連絡が来たことには驚いた。ただ不思議なことに、彼とは数年ぶりに会った感じもなく、見た目も喋り方もいっさい変わっていなかった。その雰囲気のおかげか、ゆったりとした時間を過ごせた。自分と性格面で重なるところが多い気もする。

また何より興味を惹かれたのは、彼が数ある診療科の中から、病理医としての道を選んだことだ。病理医になる者は極めてレアで、おおよそ学年に1人いるかいないか。大学の臨床実習でもまず出会わない。

そもそも病理とは、身体の組織や細胞を顕微鏡で観察し、その原因や病態を明らかにすることで、病気の最終的な確定診断を下すことをいう。特に悪性腫瘍(がん)の確定診断に必須のプロセスである。それを専門とするのが病理医であり、多くの臨床医にとって、患者の治療方針を決定する際には頼らざるを得ない、とても貴重な存在だ。にもかかわらず、病理医は臨床の場にはなかなか出てこないので、とにかく存在感が薄い。まさに「究極の縁の下の力持ち」という名にふさわしい。

そんな渋みの強い領域を選んだ彼だが、もともと学生の頃は病理を選ぶつもりはまったくなかったらしい。彼はある腎不全の症例において、他の臨床医が誰も気づかなかったクリティカルな診断を、病理医による病理生検が導き出すという場面に出会った。それをきっかけに病理に興味を持ち始めたのだという。なるほど。おもしろい。


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